小1の壁|学童初日と通学班で見えた“ちいさな不安”

子育て

「小1の壁」
よく耳にする言葉だけれど、実際に体験してみて、初めてその意味がわかりました。

子どもが戸惑うように、親もまた、
新しい環境に、少し戸惑いを感じています。

入学、学童、通学班。
新しい日々の中で娘が見せてくれた“小さな気持ちの動き”を通して、
私自身もたくさんのことを考えさせられました。

娘の小さな変化をきっかけに、親としてどう寄り添おうとしてきたのかを、あらためて振り返ってみました。

学童初日、娘の新しいスタート

私は働いているため、娘は学童に通うことになりました。
小学校も学童も、本人はどちらも楽しみにしてくれていたのが救いでした。

そして迎えた、4月1日の学童初日。

当日になると、娘は少し緊張した様子。
やはり初めての場所には、不安がつきものですね。

これまでは保育園から最寄駅へのルートでしたが、この日からは朝の送迎ルートも変更に。
少し早めに家を出て、学童に立ち寄ってから保育園、そして仕事へ向かう流れになりました。

学童の駐車場に着くと、娘はすっと教室の中へ。

私が先生に挨拶するよりも早く中に入っていったので、慌てて「よろしくお願いします」と伝えて見送りました。

ちなみに、最初は「楽しかった!」と笑顔で話していた学童ですが、数日が経つころには「行きたくない」と言うように。

このあたりの変化については、またあらためて書きたいと思います。

小学校生活が始まった

学童が始まって1週間ほど経った頃、入学式を経て、小学校の授業がスタート。

新しい教室、初めての先生、そして“通学班”という未知の登校スタイルです。
娘にとっては、ドキドキの連続。

「宿題も出るんだよね?できるかな?」
「友達できるかな?」
「朝、ちゃんと起きれるかな?」

通学班も、初日だけは私が付き添いましたが、翌日からは「自分で行きたい」と言い、早くも一人で集合場所へ向かうようになりました。

そんな娘の姿に、新しい生活を楽しみにしている様子が感じられて、私はほっとしていました。

「通学班で行きたくない」と言い出した朝

通学班で登校をはじめて3日目。
娘がぽつりとこぼしました。

「通学班で行きたくない…」

理由はふたつ。

  • 年上の子たちが怖く感じること
  • 黄色い交通安全カバーが目立って恥ずかしいこと

たしかに、これまで自分より年上の子と関わる機会はほとんどありませんでした。
関わったとしても、必ず親がそばにいたので、不安を感じることはなかったのかもしれません。

黄色いカバーについては、まわりの目を気にしやすい娘の性格がよく表れていると感じました。

私は、通学班で無理をする必要はないと思っていたので、
「無理に話す必要ないよ。ママも一言も喋らずに登校してたから。」
と、娘に声をかけました。

そのとき、娘は特に何も言いませんでしたが、
それからは、たびたびこんな言葉を口にするようになりました。

「ママも嫌だったけど、行ったんだよね?」

「自分だけじゃない」と知ることが、娘にとって大きな安心につながったようです。

通学班に置いていかれた朝

通学班での登校が始まって4日目のこと。

いつも通り学童にお迎えに行ったとき、娘が明るい口調で言いました。

「ママ、朝ね、通学班に置いていかれちゃった!」

思わず「えっ!?」と声を上げてしまいました。

娘によると、集合場所に着いたときには誰もおらず、すでに班の子たちは出発していたとのこと。

たしかに、その朝は少し遅く家を出た覚えはありました。
でも、まさか本当に置いていかれていたなんて、想像もしていませんでした。

遠くに歩いていく班員の姿を見つけて、娘は必死に追いつこうとがんばったそうです。

長い距離をひとりで歩いた娘の気持ちを思うと、胸がぎゅっと締めつけられるようでした。

置いていかれた翌朝、娘の小さな決意

翌朝、娘は「今度こそちゃんと行きたい」と気合を入れて起きてきました。

集合時間の15分前からそわそわと落ち着かず、
「もう行ったほうがいいかな…?」と、何度も私に尋ねてきます。

前日のことが、やはり心に残っていたのでしょう。

「早すぎても誰もいないから、もう少しゆっくりして大丈夫だよ。」
そう声をかけながら、時間を見計らって一緒に家を出ました。

私は途中まで付き添い、集合場所の少し手前で別れました。

ところが……

集合場所にたどり着いた娘が、あわてた様子で引き返してきたのです。

「ママ、みんないない!」

驚きと戸惑いが入り混じった声。

まさか……また置いていかれたのでは?と、私の胸もざわつきました。
まだ集合時間前のはずなのに。

「大丈夫。ママが少し先まで見てくるから、ここで待っててね。」

そう伝えて歩き出そうとした、そのとき。
遠くの道の先に、通学班の子たちがちらほらと見えはじめました。

どうやら、今回は早く着きすぎただけだったようです。

子どもたちの姿を見つけたとたん、娘の顔がほっとしたようにゆるみました。
張りつめていた緊張も、少しだけほどけたように見えます。

私も胸をなでおろしながら、娘の背中を見送りました。

「小1の壁」は、親子で越えていくもの

今回の一件で、私は“付き添うこと”の大切さを、あらためて実感しました。
はじめは、娘も「小学生になった」という自信から、小学生のお姉さんらしく、一人で頑張ろうとしていたように思います。

子どもの自立心は大切です。

ただ、たとえ本人が「大丈夫」と言っていても、もう少しそばで見守るべきだったと、今では感じています。

「通学班に遅れてしまった」という出来事をきっかけに、娘は一人で登校することに不安を感じるように。
しばらくのあいだ、私は毎朝、集合場所まで付き添うことにしました。

子どもの不安をすべて取り除くのは難しいけれど、
そばにいることで、少しずつ安心が積み重なっていく。

そんなふうに感じた出来事でした。

とはいえ、この経験が「悪いこと」ばかりだったとも思っていません。

時間に遅れると、容赦なく置いていかれる。

実体験できたことで、娘なりに「時間を守る」大切さを理解したようでした。


春。新しい生活が始まる季節。

子どもにとっても、親にとっても、小さな挑戦が続く時期です。

ふとした表情やぽつりとこぼれる言葉から、
子どもなりの心の動きが見えてくることがあります。

親にできるのは、そんな変化を見逃さずに、そっと気づいてあげること。

学校生活や通学班に、“楽しくて当たり前”だと思いすぎなくてもいい。
「ちょっとイヤ」「なんか違う」——そんな気持ちが出てくるのは、むしろ自然なことです。

子どもが“できたこと”だけでなく、“言葉にできた不安”にも、ちゃんと目を向けてあげたい。

焦らず、ゆっくり慣れていけばいい。
親も子も、少し肩の力を抜いて歩いていけたら、もう立派な一歩なのだと感じています。

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